無職になって幸せなのは、何をするにも時間の制約がないことです。
とくに、仕事帰りには行きにくかった図書館には、買物のついでやランニングの後などに、ふら~りと立ち寄るようになり、くつろぎながらインプットできるひとときとなっています(一年前までは当たり前のことで、これが幸せだなんて気づいていなかった・・・)。

借りていた本を返し、予約していた本をもらい
新聞や雑誌の最新号をチェックして
「帰ってきた本」を物色します。
他人様が、どんなことに興味を持っているかを知るのが面白いし、私も好きな作家さんの本がまとめて返却されているラッキーに巡り合えることもあるし、「帰ってきた本」は宝の山!!

日本作家の本の並びに、有川浩さんのエッセイ「倒れるときは前のめり」がありました。この本は、出版直後に面出しで並んでいるときにジュンク堂で見かけ、「有川さんって、私みたいな性格なのかしら???」と思って手にとったものです。

というのも、30代前半の「趣味=仕事」状態だった頃、日経某誌の副編集長の方から原稿依頼をいただき、「いつもの服部さんらしい、ちょっと前のめりな感じのトーンでお願いします」と言われたことがありまして。

私って、「いつも」「ちょっと前のめり」な文章を書いていたのかー?

と、ビックリしました。その雑誌は、雇用機会均等法ができたときに創刊され、当時は(今もかなぁ)働く女性のバイブル的な存在だったので、読者層もキャリア志向の強い女性たちです。私からすれば、読者の皆さんのほうが、よほど前のめり・・・ましてや副編集をや! って感じだったのですが、編集さんの評価を聞けることってそんなにないので、ありがたく受け止め、心に留めたのでした。

それから数年後、別の雑誌で詩人が開催しているセミナーのレポートを書かせていただいたとき、その詩人の女性が「久しぶりに、赤い原稿を読ませていただきました。ありがとうございました」とゲラチェックを戻してくださり、

赤いのか・・・私の文章。で、赤いって?

と、またまたドキリとさせられました。
さすが詩人ですよね。ステキな原稿とか、うまくまとめてくださって、みたいな常套句は使わずに、どう受け止めたかを伝えてくださるのですから。灰色とかじゃないので、おそらくはポジティブな感想であったと信じています。そして、青でもない、黄色でもない、ピンクでもクリーム色でもない。赤かったのです。当時の私の文章は。

ただ、作文や感想文が好きだった学生が、プロライターいなってから苦労したのは、我を控えて媒体に合わせるということでした。が、それでも個性は出てしまうし、出ているからこそ、大勢の中から指名してもらえるのでしょう。
30代の私は、起業家や上昇志向の強い学生、会社員、先生たちを取材することがほとんどで、皆さんの言葉に刺激を受け、自分自身も起業家でありたいと思い、切磋琢磨で競い合い、磨き合い、登りつめていくのだ~~と思っていました。

いま振り返ると、若いし、パワフルだし、うらやましいところもあるんだけど、そんなに頑張らなくてもいいんじゃないの? とも感じます。

そんな前傾姿勢で倒れる寸前まで頑張って飛距離を伸ばして来た30代があったからこそ、40代に違うやり方を試すことができるし、若い頃の自分のような人を応援することもできるような気がしています。

有川さんのエッセイを読みながら、今の私には、もう「前のめり」で「赤い」文章は書けないけれど、前傾姿勢のままでは見落としていたであろう足元の小さなことを見直していきたいですね。

「ライターに戻らないの?」と、しばしば質問されるのですが、書くことは(こうしてブログも再開しましたし)続けるけれど、“前にやっていたような”職業ライターには戻らないつもりです。就職先でも、「ライター=プレスリリースがさくさく書ける人」みたいな解釈しかされず、自尊心が傷ついてしまいました。自分のアピール不足を呪います。

書くというスキルは、もっと活用できるんです。なめんなよ!

これからは、もっと自信をもって使っていきます。