2022年に入り、周りから「ライターを探しているんだけど」というご相談を受けることが増えてきました。
私が書く仕事を始めたのは1997年。その後、景気後退や文字離れなどによる休刊・廃刊が相次ぎ、どちらかというと需要はしぼんでいると思っていました。
が、いやいやどうして…!
#言語化 が求められる場所は、雑誌やWEBマガジンといったメディアだけではなかったのです。
経営者の思い/考え 企業としての姿勢 などを
社内に浸透させたり、社外に発信したりするときに
「ことば」の力が必要です。
で、誰が書くの?
経営者自身にできればベストですが、うまくできる方は少ないのではないでしょうか。
「社内広報に任せている」という会社もあるでしょう。広報専任の人材をおけるとしたら素晴らしいことです。
でも、あえて提言します。
「外部ライターに任せてみてください」。
なぜなら、私自身が「中の人」をやってみて、社内ですべきことと、社外から働きかけたほうがいいことの、切り分けが出来たからです。
時間と気持ちに余裕のある方は、このまま続きを読んでいただけると嬉しいです。
キャリア25年のライターが
デザインセンターで働いて得た「気付き」
2022年の上半期。
デザイン×経営をコンセプトにした、半官半民の組織で働きました。
広報担当として各種SNSの「中の人」になってフォロワーを増やしたり。
会員組織のメンバーになってくださっている方にインタビューをして記事にまとめたり。
下に埋め込んだnoteは、私が企画・編集・取材・執筆、撮影や図表の制作も含め、すべてひとりで担った記事です。校正含めて1週間ほどで完成。
商品サンプルを兼ねて、ご一読ください。
https://note.com/embed/notes/nb35219fcfd9d
さらに、組織自体が「官➡民」大変革の途上にあったので、
パーパスやビジョンなどの再定義に関わったり、上司が言語化できていない
ものを社内外に浸透させるためのコピー作りをしたり。
副業OKだったので、あいかわらず雑誌や他社の広報誌に記事を書く仕事も続けていました。冒頭にも書きましたが、フリーライターとしてのキャリアは25年。ウェブにも紙にも書きます。ある程度長い尺のほうが得意。
サンプルとして #newspicks の記事をどうぞ。
【京都】アパレル経験ゼロ。イタリアでのひらめきとは
横浜で生まれ、イタリアのミラノで育った大河内愛加さんが、ファッションブランドを立ち上げたのは2016年。ブランド名の「renewspicks.com
そして気付いたのです。
経営者の傍らにライターがいたら、
もっとビジネスが加速するし、
社員をはじめとしたステイクホルダーが
もっともっと幸せになるだろうな~
夫婦に相性があるように、
経営者とその右腕にも相性がある。
父は生前、小さいながらも株式会社の代表取締役をしていました。
感覚派で社交的で、しゃべりがうまくて、ちょっといい加減www
その傍らにいたのが
神経質で頭の回転が速く、細かいことが得意な母でした。
(男女として仲が良かったかというとビミョーですが💦)
ビジネスパートナーとしては、なかなかに相性の良い
社長と右腕だったと思います。
志と野望に満ちた経営者
+
冷静にそろばんをはじく参謀
この組み合わせは、昭和のイケイケどんどん時代において、もっとも多かったのではないでしょうか。
外部パートナーも
「顧問税理士」や「社労士」「司法書士」が鉄板でしたよね。
夫婦も
「外で7人の敵を相手にバリバリ働く夫」
×
「夫の疲れを癒すべく家で待つ良妻賢母」
が典型パターン。
これはこれで、いまでもあっていいと思う半面、令和らしいバリエーションが必要なのでは? とも思うわけです。
いまどきの経営者たちは大卒が多く、#MBAホルダー も珍しくありません。先代から経営の基本を叩きこまれた #アトツギ も少なくありません。
てなわけで、
数字(会計)は、そこそこわかっています。
という人が大半な気がします。
しかも、ITツールの劇的な進化により、経理担当者が社内にいてCFO的なポジションを担っているケースも増えているでしょう。
その一方で、外部人材を要する別の分野が出てきました。
それが「デザイン」です。
クリエイター系の人材活用を
まず「社外顧問」で試してみては?
10年ほど前から言われている #デザイン経営 を意識する企業では、CEOのそばにCFOやCOOを置くのと同じように、
#CDO チーフ・デザイン・オフィサー
を迎え入れるケースも増えてきているそうです。
こちらの動画で、濱渦さんと三浦さんがアツく語っています✨
ロジカルで賢い経営者さんほど、直感的な(いわゆる、センスが勝負と言われる)デザインについては、苦手というか懐疑的な印象をお持ちのようです。
だからこそ、インハウスデザイナーを抱えるなんてとんでもない冒険ですし、外注デザイナーとのやりとりも、ギクシャクしがち。
時代の潮流がデザイン思考、アート思考になっていることは、もちろん知識としてご存じなんです(アンテナは高い)が、
「ついに有名デザイナーの〇〇〇さんにロゴを頼んじゃったよ~」
と、勲章発注(?)みたいな話を聞くと、むしろちょっとカッコ悪いのでは……と、冷ややかに見ていたりします。
そこで提案です。
📍クリエイティブ職を社員として予算があるのなら、数か月~1年単位の期間限定お試しで、外部の専門職と契約してみる。
📍いきなり、デザイナーを選ぶのはハードルが高いなら、経営のビジョンやミッションをデザインに翻訳してくれる「つなぎ」として、ライターを活用してみる。
ライターの取材力と言語化力は
プロジェクトマネジメントにも使えます
さきほど、
外注デザイナーとのやりとりも、ギクシャクしがち。
と書きましたが、こんな経験はないでしょうか。
企業姿勢や経営ビジョンを提示してデザインをお願いしたのに、ちっとも思った通りのビジュアルが出てこなくて、何度も何度もやり直しを頼んでいる。
頼む方もしんどいのに、デザイナーにもイヤな顔をされて最悪だ。
この発言は事実に基づいたフィクションですが、「あるある」だと思います。
なぜ、こんなすれ違いが起こるのか?
私がいくつかの組織で広報業務に携わってみてわかったのは(これは、フリーランスとして外から見ていただけでは、わからなかったことだと思っています)
①ビジョンがまだハッキリしていない
②共通言語がないまま、闇雲にやりとりを続けている
のいずれかが多いということです。
①の場合は、経営者や幹部の方へのインタビューを行い、ビジョンを明確にしていくことが肝心です(多くの場合は絞り込み作業になるでしょう)。これを社内の広報担当者がやるのは、想像以上に難しいです。
どんなに有能な担当者であっても
「たかが、部下」
だからです。
「社長、そのボンヤリした表現、なんとかなりませんか?」
なんて指摘はしにくいでしょうし、勇気を出して発言しても…ねぇ(苦笑)。その点、外部から専門家としてのアドバイスなら、意外とすんなり受け入れられると思います。
部下の方にしたら「私が同じこと、言ったじゃないか」と腹立たしくなるでしょうが、「第三者の意見」であることが重要なのです。
②の場合は、「わかり合っているつもり」という曖昧さを消す作業をお手伝いします。最近の言い方なら
『解像度を上げる』
作業です。ライターは一般の人に比べて語彙が多いですし、ましてや社外の人間であれば、社内用語や業界の専門用語など「当たり前に使っているが、実は多くの人に通じていない単語」の存在を見落としません。
この2点を押さえて、日本語から日本語への翻訳をするだけで、「あんなに説明したのに、伝わっていなかった」というストレスは、かなり軽減するでしょう。
デザイナーさんにも、調整力が高く、言葉選びも上手な方はおられます。自分でプロジェクト・マネージャーを兼ねて、上手に企業案件をこなしてくれるでしょう。しかし、残念ながらレアケースです。
ライターの中で、取材・インタビュー経験が豊富な人材は、同じ単語が業界や地域が違うだけで、まったく別の意味をはらむことなどを踏まえて、具体化と抽象化をいったりきたりしながら、すれ違いの少ない表現に落とし込んでいくことができます。
その力をコミュニケーションやリレーションシップに活用してみてください。
デザイナーはもちろん、あらゆるステイクホルダーとのやりとりが、円滑にかつ、解釈のギャップなく進めば、ビジネスがスピードアップすることはもちろん、みんなの幸福度があがるはずです。
【プロフィール】
◎服部貴美子(はっとり・きみこ)
屋号:すきめし企画
1968年大阪生まれ。神戸在住。
大阪で学習塾を営む両親のもと、4人きょうだいの末っ子として生まれる。幼少期は典型的な内弁慶。頭と心の中にパンパンに詰まったものをアウトプットするのに苦労していたが、小3の学級会で発言することに目覚め、小5の造形の会で絵に表すことに目覚め、中学の交換日記で書き綴ることに目覚める。
\50歳になって目覚めたのが音声配信/