パスがあってのシュートです

オリンピックで活躍したカーリング女子の選手たちが、帰国後に複合ダブルスでも功績をおさめて、さらに人気上昇↑↑のようですね。
チーム戦とは役割分担がガラリと変わるわけですが、自分の持ち味を生かし、仲間の持ち味も引き出すという姿勢を貫き、失敗しても励まし合って頑張っている様子(常にスマイルを忘れずに!)は、(´~`)モグモグTIMEに負けないくらい、私の気持ちをアゲてくれました。

個人で仕事をしていると、まずは自分のスキルを磨きあげることに集中しがちです。必要なことだし、優先すべきことだとも思っていますが、どんなプロジェクトであれ、一人で仕事が完結することはないので(作ったものが飛ぶように売れるアーティストみたいな人なら別かもしれませんけど・・・それでも、「売ってくれる人」などと支え合っているところはあると思います)、相手を知ることも大切。

組織においては、なおさら重要なわけで。
いまだに私がしばしば思い出すのは、証券時代の上司が私に出してくれていた「パス」についてです。
最初に「あれっ?」と気づいたのは、コピーを頼まれたときでした。
私は部内で年次が一番下だったので、いわゆる雑務全般を任されていました。その日も、上司が会議資料のコピーをしてほしいと声をかけてきたので、その人のデスクまでとりにいくと、
「君は出ない会議だけど、とても大事なことを話すから。ゆっくりコピーをとってくれる。ゆっくり」
と言うのです。

わかりました。と答えて、すぐにコピー機のところに向かいましたが、何とも言えない違和感があり、20セットほど帳合をかける間、ぼんやりと上司の言葉を思い出していました。

なんで、「ゆっくり」って2回も言うの? 前のとき、雑だったかな。

自動帳合でホッチキスまで打ってくれるマシンなので(さすが大企業!)作業はすぐに終わってしまいました。「ゆっくり」できなかったけど・・・と考えながら、原稿を取り出してコピー台の上にのせたとき、私は初めて、その書類の内容を見たのです。確かに重要そうな議題がずらりと並んでいて、次長クラス以上しか参加できない会議であることも納得です。

この会議で練ったことが部会で出てきたら、また忙しくなりそう。

などなど、いつのまにか頭の中がグルグルしてきて、「あ、はやく原稿返さないと」と思った直後、私は「ゆっくり」でよかったことに気が付いたのです。

中身を読めるように、「ゆっくり」って言ったんだ!!!!!

しばし内容を吟味させていただき、必要なことをメモにとってから原稿を返しに行くと、上司は私にお礼と確認を言いました。
「ありがとう。ゆっくりとってくれたか?」
「はい。ちゃんと、ゆっくりとりました。ありがとうございました」
「そりゃ、よかった(笑顔)」

その後も彼からは、何度か「ゆっくり」付きの業務があり、私は自分の職掌では得られない情報を早めにキャッチすることができました。
ほかにも、自分の同期(は、それなりのポジションになっている)や同窓(有名大学)の名前を挙げて、「書類持っていってくれ」「これ、質問してきてくれ」と使いに出しては、私に社内ネットワークを広げるパスを出し続けてくれたのです。

女子大出身の私には、管理職になっている上司などいるわけがありません(今は、かなり変わったみたです)。どんなに業務を頑張っても男性社員とは同等に扱われないと涙する先輩の姿を何度も見てきました。
あれから20年以上たった今でも、まだまだ日本社会は男女格差が大きいなとは思いますが、あのときの上司のようにパスをくれる人が増えていけば、モチベーションを保ちながら、力を発揮できる人は増えると思います。

ただ残念なのは、他人に良いパスを出せる人というのは、そんなに多くありません。いかに定年までを穏便に過ごすか、という保守的な気持ちになると、パスを出すどころか、こぼれ球を拾い集めて保持することが“正解”になってしまいます。誰もシュートできない状態に陥るのですが、それでいいんでしょうか。

それなりの年次・ポジションを得てなお、パスを出さずに球を集めている人を見ると悲しい気分になりますが、それが今の日本のマジョリティかも。
私に出来ることは、パスをもらえる喜びを知っている自分を誇りに思うこと。そして、結果を恐れずシュートをうつか、次の誰かにさらなるパスを繰り出すか、そんなプレーヤーでありたいです。

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